法人化すべき?個人事業主と株式会社の違いとメリット・デメリット
はじめに
「そろそろ法人化すべきか?」と悩んでいる個人事業主の方は少なくありません。事業が軌道に乗ってきたとき、多くの方がこの選択を迫られます。
この記事では、個人事業主と株式会社の違い、メリット・デメリット、法人化すべきタイミングについて詳しく解説します。最後には、判断材料として使える比較表もご用意しています。
個人事業主と株式会社の基本的な違い

項目 | 個人事業主 | 株式会社 |
---|---|---|
設立の手間 | 少ない(開業届のみ) | 多い(登記手続きが必要) |
設立費用 | 0円 | 約20万円前後(登録免許税など含む) |
会計処理 | 簡単 | 複雑(決算報告が必要) |
税制 | 所得税 | 法人税 |
信用度 | やや低い | 高い |
資金調達 | 難しい | 比較的しやすい |
社会保険の加入義務 | 任意(従業員が5人未満の場合) | 強制 |
個人事業主のメリットとデメリット
メリット
- 設立・運営が簡単
- 税務署に「開業届」を出すだけで始められます。
- 経費や利益の管理が柔軟
- 自分の生活費と事業費をある程度自由に調整できます。
- 赤字の繰り越しが3年まで可能
デメリット
- 所得が増えるほど税率が上がる
- 所得税は累進課税制度なので、儲かると税率もアップします。
- 信用力が低い
- 取引先や金融機関からは「会社」よりも信用が劣ると見られることも。
- 事業が個人と一体化
- 事業の負債は個人の責任となります。
株式会社のメリットとデメリット

メリット
- 税率が一定
- 法人税は一定(中小企業なら23.2%程度)で、所得が増えても税率の急上昇はありません。
- 社会的信用が高い
- 融資や大口取引、採用活動において有利です。
- 節税の幅が広がる
- 役員報酬、退職金制度、保険の活用などで税金を抑える方法が豊富。
- 事業の継続性が高い
- 代表者が変わっても法人としての存在は続くため、承継がスムーズです。
デメリット
- 設立コストがかかる
- 登記や定款認証などで20万円前後の費用が必要です。
- 事務手続きが複雑
- 決算書の提出や税務申告など、専門知識が必要になる場面が多くなります。
- 社会保険への強制加入
- 社長一人でも社会保険(健康保険・厚生年金)に加入しなければなりません。
法人化を検討するタイミング
法人化すべきかの判断には、以下のような指標が役立ちます。
年間利益が500万円を超えたとき
所得税と法人税の税率差を考慮すると、利益が500万円以上になると法人化の方が節税メリットが出ることが多いです。
社会的信用を高めたいとき
取引先や銀行からの信用力を高めたい、助成金や補助金を活用したい場合は、法人格の取得が有利です。
事業を拡大したいとき
社員を雇う、事業所を増やす、資金調達をしたいときは、法人の方が有利です。
節税対策を多角的に行いたいとき
役員報酬や退職金、法人保険の活用など、多くの節税策を活用したいなら法人化が有効です。
法人化後に必要となる運営体制と管理
法人化した後は、運営の透明性や信頼性を高めるために、個人事業とは異なる管理体制が求められます。
会計処理と記帳の厳格化
法人では、毎月の会計処理や帳簿作成、期末の決算報告など、明確な記帳義務が発生します。会計ソフトの導入や税理士への依頼が現実的になります。
労務管理の強化
社会保険の加入義務が発生するため、労務管理(労働契約書の作成、就業規則の整備など)も重要となります。従業員を雇用する場合は、より一層の注意が必要です。
経営判断の明確化
取締役会の設置義務は小規模な会社にはありませんが、経営者としての意思決定や責任の所在を明確にしておくことが、持続可能な経営に繋がります。
外部との契約関係の見直し
法人になると、契約書の名義や条件が変わることがあります。新たに法人として契約し直す必要がある場合もあるため、取引先との確認を行いましょう。
法人化の流れと注意点

ステップ1:事業計画と資金計画を立てる
会社設立後の資金繰りや運営を見据えた計画が必要です。
ステップ2:定款作成と認証
公証人役場での認証が必要になります。電子定款にすれば印紙税(4万円)が不要に。
ステップ3:法務局での登記
登記申請書類を準備し、登記を完了させることで法人格が生まれます。
ステップ4:税務署や年金事務所への届出
法人としての開業届や青色申告の承認申請、社会保険の加入手続きを行います。
比較早見表まとめ
観点 | 個人事業主 | 株式会社 |
設立の難易度 | ◎ 簡単 | △ 複雑 |
初期費用 | ◎ ほぼ0円 | △ 約20万円 |
節税の可能性 | △ 限定的 | ◎ 多角的に可能 |
信用力 | △ 低め | ◎ 高い |
社会保険義務 | ◯ 条件による | △ 強制加入 |
決算申告 | ◯ 確定申告のみ | △ 決算書類が必要 |
事業継続性 | △ 難しい | ◎ 高い |
まとめ
個人事業主と株式会社にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが正解というわけではありません。
利益が大きくなってきた、信用を高めたい、節税対策を本格化したいといったタイミングで法人化を検討するのが良いでしょう。
"いつか"ではなく、"今"の自分にとって最適な形を選ぶために、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。
最後に
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