経営者が知っておくべき会計の基礎!お金の管理で失敗しないために
はじめに
「経営が順調なのに手元にお金が残らない」——そんな悩みを抱える経営者は多いものです。売上が伸びても、適切な会計管理ができていなければ、キャッシュフローが悪化し、経営リスクが高まります。
この記事では、経営者が最低限知っておくべき会計の基礎知識や、お金の管理で失敗しないための実践ポイントを解説します。事業の安定運営のために、今一度お金との向き合い方を見直してみましょう。
会計の基本3要素

会計には「記録」「分類」「報告」という基本的な3つのプロセスがあります。
- 記録(仕訳)
- すべての取引は「いつ・何を・いくらで」行ったかを記録することが基本です。
- 例:商品を現金で販売 → 売上高の増加と現金の増加を同時に記録します。
- 分類(勘定科目の仕分け)
- 仕訳をもとに取引を勘定科目(売上、仕入、通信費、交際費など)へ分類します。
- 適切な分類は節税にも繋がるため、ルールに従って正しく処理する必要があります。
- 報告(決算書作成)
- 1年間の取引を集計・整理し、損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)などを作成。
- 経営状況を数字で「見える化」するための重要なステップです。
会計がなぜ経営に重要なのか?
理由 | 説明 |
---|---|
経営判断の指針になる | 利益や資金繰りを把握し、投資、採用、人件費の決定に役立ちます。 |
税務対策ができる | 経費の適切な処理や節税スキームの活用など、税負担を抑える戦略が立てられます。 |
資金調達に必要 | 融資審査や助成金申請時には、信頼性の高い財務資料が必須です。 |
社員との信頼構築 | 適正な給与や賞与を裏付ける説明ができ、社内の透明性を高めます。 |
経営者が知っておきたい財務三表の読み方

1. 損益計算書(P/L:Profit & Loss Statement)
- 一定期間に会社がどれだけ稼ぎ、どれだけ使い、どれだけ残ったかが分かります。
- 「儲かっているのか?」を把握する最も基本的な帳票です。
項目 | 内容 |
売上高 | 商品・サービスの販売による収入の総額 |
売上原価 | その売上を得るためにかかった直接的な費用(仕入や材料費など) |
売上総利益(粗利) | 売上高 − 売上原価。粗利率の把握は重要です。 |
販売費および一般管理費(販管費) | 広告費、家賃、人件費など固定的にかかる費用 |
営業利益 | 売上総利益 − 販管費。事業本来の儲けを示します。 |
経常利益 | 営業利益 + 金融収支など。営業外の収支も含む。 |
税引後純利益 | 法人税等を差し引いた最終的な利益。配当や内部留保に使われます。 |
2. 貸借対照表(B/S:Balance Sheet)
- 会社の財政状態を「静止画」のように切り取って示す資料です。
- 資産(何を持っているか)、負債(どれだけ借りているか)、純資産(会社の自己資本)で構成。
項目 | 内容 |
資産 | 現金・預金、売掛金、在庫、設備などの資源 |
負債 | 借入金、未払金、買掛金などの返済義務 |
純資産 | 資産 − 負債で求められ、会社の本当の価値に近い部分 |
3. キャッシュフロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)
- お金の流れを「実際の現金ベース」で示します。
- 営業活動、投資活動、財務活動の3つの観点から構成されます。
区分 | 内容 |
営業活動によるCF | 商品販売や仕入、経費支払いなど、日常の営業で動いた現金 |
投資活動によるCF | 設備投資や固定資産の購入、売却による現金の動き |
財務活動によるCF | 借入や返済、増資、配当など資金調達に関する現金の動き |
会計処理でよくある失敗パターン
1. 売上ばかりを見て利益を見ていない
- 売上が上がっていても、利益が残っていなければ意味がありません。
- 「高回転低利益モデル」は資金繰りが厳しくなる原因にも。
2. キャッシュフローの軽視
- 帳簿上は黒字でも現金が足りず、支払い不能に陥る「黒字倒産」も。
- 銀行の返済期日や給与支払いに間に合わないケースは要注意です。
3. 経費の分類ミス
- 「接待交際費」と「福利厚生費」の違いなど、税務署からの指摘で追徴課税のリスクも。
- 勘定科目の定義や使い分けを理解しておく必要があります。
4. 経理の丸投げ
- 税理士任せでは、経営判断に必要な数値を把握できません。
- 月次試算表を読み、重要な指標(粗利率・営業利益率・自己資本比率など)を理解しましょう。
日常でできるお金の管理術

- 毎月のPLをチェック
- 売上・経費・利益の変動を確認。予算との乖離を分析し改善に活かす。
- 支出の見える化
- 固定費(家賃・人件費)と変動費(仕入・光熱費)を分離して分析。
- グラフ化して視覚的に把握するのも有効です。
- キャッシュフロー予測を立てる
- 売掛金の入金予定、買掛金の支払予定、借入返済日などを明確にして現金不足を防止。
- 資金繰り表を作成する
- 週単位や月単位でのキャッシュの流れを管理。
- 経営判断の遅れによる資金ショートを防ぐ重要ツール。
会計ソフトの活用と外部パートナー
手段 | 特徴・メリット |
会計ソフト(freee、マネーフォワードなど) | 日々の仕訳を自動処理し、クラウドで管理。経営者でも感覚的に使いやすい。 |
税理士との連携 | 月次試算表の確認や、決算前の節税アドバイスを受けることで、利益を適正にコントロール可能。 |
クラウド会計との連携 | 銀行・カード・POSシステムと連携し、仕訳の自動化・データの一元管理ができる。リアルタイムで財務状況を把握可能。 |
まとめ
お金の流れを把握し、経営に活かすためには、会計の基礎を理解することが不可欠です。数字に強い経営者は、判断スピードと質が圧倒的に違います。
会計知識があれば、利益率の低下や固定費の増加などの兆候を早期に察知し、改善策を打てます。「なんとなくうまくいっている」経営から、「根拠ある意思決定」に変えていきましょう。
"売上=利益"ではありません。利益が出ていても、キャッシュがなければ会社は続きません。数字を味方に、持続的な経営を目指してください。
最後に
弊社では、ホームページ制作・SNS運用まで幅広くご相談を承っております。数字に強くなりたい経営者の皆様、ぜひお気軽にお問い合わせください。